20080721
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事件がまったく進展してませんよ。
目が覚めて、ブルースは当然のように自分と一緒に寝ている男の顔をじっと見つめた。
なぜここにいるんだろう。そういえば出勤とか普通の人間は時間が決まっているのではなかったか。フレックスタイム制なのだろうか。新聞記者だからルーズなのかも知れない。
意外に睫毛が長い。この睫毛も鋼鉄なのだろうか。眉毛は、眉もそうなのだろうか。
ブルースはすやすやと眠る大男の目蓋に手を伸ばした。
「………」
ぱちりと開いた目に、ブルースは動きを止め、クラークもまた視界いっぱいの手に沈黙した。
「……おはよう」
「なぜ人のベッドで寝ているんだ?」
「君が寝ちゃったから」
「から?」
「君の寝顔みてるうちに僕も寝ちゃった」
そうか、とブルースは頷いたが、内心は変な男だと呟いて、ベッドから下りた。いつものように腕立てをしようとして悩む。陽気なプレイボーイはするだろうか、しないだろうか。だが結局は腹筋をするだけにした。
「腹が出ると嫌われるからな!」
聞かれるより前に言い訳して、ブルースはきょとんとしているクラークを置いてバスルームに逃げた。
クラークは己の引き締まった腹を見、ちょっとだけ安堵した。
「ぼっちゃま。トンプキンス様からご伝言で、昼食はリッツにお出でになるようにと」
着替えを済ませるとアルフレッドが告げ、ブルースは時計とテーブルを見比べて、溜め息をついた。
「それでコーヒーとビスケットだけなんだな。悠長に食事をしている時間はないというわけか」
「お召し替えをされるならそうですね」
「リッツにこんなシャツでいけるものか」
ブルースは再び寝室に戻り、ラフなシャツを脱ぎ捨て、明るい茶色のスーツを手に取った。
「セントクラウド様がお見えになるそうですから、ダークグレイのスーツになさいませ」
アルフレッドが慌てて追ってきて、ブルースは悲しげに首を振った。
「忠告には従うが、シルバーとはもう別れたんだ」
「存じておりますが、しかしお気が変わられるということもございます。いつでも戦闘態勢は崩されませんよう」
確かに無害で陽気な若富豪という色味よりも、シルバーの銀髪を映えさせるダークグレイのスーツの方がエスコートとしてはふさわしいだろうが。
複雑そうなブルースの顔をみて、アルフレッドはふと辺りを見渡した。
「ケント様はどうなさいました?」
「窓から帰った。誰かの悲鳴が聞こえたらしい」
「それはなにより」
アルフレッドの呟きをブルースは聞き流し、二秒後に我に返って視線を向けたが、執事はすでにネクタイと靴を選びにクローゼットへ入っており、問い返すタイミングを逃した。
「いつでも戦闘態勢か…」
ブルースは窓の外に広がる庭園を眺めながら呟き、フォックスに作ってもらった新装備のことを思い出して微笑みながら、サービストレイのコーヒーカップを取り上げた。
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アルフレッド的婚活。主人が幸せになれそうなら、性別は問いません。
なぜここにいるんだろう。そういえば出勤とか普通の人間は時間が決まっているのではなかったか。フレックスタイム制なのだろうか。新聞記者だからルーズなのかも知れない。
意外に睫毛が長い。この睫毛も鋼鉄なのだろうか。眉毛は、眉もそうなのだろうか。
ブルースはすやすやと眠る大男の目蓋に手を伸ばした。
「………」
ぱちりと開いた目に、ブルースは動きを止め、クラークもまた視界いっぱいの手に沈黙した。
「……おはよう」
「なぜ人のベッドで寝ているんだ?」
「君が寝ちゃったから」
「から?」
「君の寝顔みてるうちに僕も寝ちゃった」
そうか、とブルースは頷いたが、内心は変な男だと呟いて、ベッドから下りた。いつものように腕立てをしようとして悩む。陽気なプレイボーイはするだろうか、しないだろうか。だが結局は腹筋をするだけにした。
「腹が出ると嫌われるからな!」
聞かれるより前に言い訳して、ブルースはきょとんとしているクラークを置いてバスルームに逃げた。
クラークは己の引き締まった腹を見、ちょっとだけ安堵した。
「ぼっちゃま。トンプキンス様からご伝言で、昼食はリッツにお出でになるようにと」
着替えを済ませるとアルフレッドが告げ、ブルースは時計とテーブルを見比べて、溜め息をついた。
「それでコーヒーとビスケットだけなんだな。悠長に食事をしている時間はないというわけか」
「お召し替えをされるならそうですね」
「リッツにこんなシャツでいけるものか」
ブルースは再び寝室に戻り、ラフなシャツを脱ぎ捨て、明るい茶色のスーツを手に取った。
「セントクラウド様がお見えになるそうですから、ダークグレイのスーツになさいませ」
アルフレッドが慌てて追ってきて、ブルースは悲しげに首を振った。
「忠告には従うが、シルバーとはもう別れたんだ」
「存じておりますが、しかしお気が変わられるということもございます。いつでも戦闘態勢は崩されませんよう」
確かに無害で陽気な若富豪という色味よりも、シルバーの銀髪を映えさせるダークグレイのスーツの方がエスコートとしてはふさわしいだろうが。
複雑そうなブルースの顔をみて、アルフレッドはふと辺りを見渡した。
「ケント様はどうなさいました?」
「窓から帰った。誰かの悲鳴が聞こえたらしい」
「それはなにより」
アルフレッドの呟きをブルースは聞き流し、二秒後に我に返って視線を向けたが、執事はすでにネクタイと靴を選びにクローゼットへ入っており、問い返すタイミングを逃した。
「いつでも戦闘態勢か…」
ブルースは窓の外に広がる庭園を眺めながら呟き、フォックスに作ってもらった新装備のことを思い出して微笑みながら、サービストレイのコーヒーカップを取り上げた。
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アルフレッド的婚活。主人が幸せになれそうなら、性別は問いません。
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