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スーパーマンが変態であることが許せない方はご覧にならないでください。でもそんなに露骨じゃない。
あとは…まあ、容赦ないツッコミでもお待ちしております。。
『カル・エル。クリプトニアンの模範となるべき生活を送りなさい』
そう書かれたメッセージに何のことだと首を傾げる。差出はクリプトン教育倫理委員会であり、そんな教育的指導をこうむる理由がわからない。
キャンダ-を覗き込む。人々は平穏に暮らしているし、何かあったようには思えない。ややあってキャンダ-の中から別のメールがきた。
『最低よカル!ブルースが可哀相だと思わないの!!』
これは従姉妹のカーラからだった。彼女はいまホームシックというか失恋の痛手というか、まあそんなわけでキャンダ-内でバカンスを楽しんでいるはずなのだが、しかしブルース?
「どういうことなんだ。カーラ?」
メールを送り返せば、ややあってカーラがキャンダ-から出てきた。スーパークリプトニアンとはいえ、出入りは結構体力を使うのだが、そんなことはどうでもいいぐらい、怒っているらしい。
「これよ!」
カーラが腕にいっぱい抱えていた中から、私の顔面に叩きつけたのは、キャンダ-内で発行されているゴシップ誌だった。見開き四ページに渡って、私に抑えつけられ、無理やりキスをされるバットマンがスクープとして掲載されていた。ちなみに記事の内容は私が悪人だという表現に尽きる。
「……カーラ、これ…」
「私は見てないけど」
カーラは厳しい顔で前置きし、硬派な論調で知られるキャンダ-タイムズの社会面を広げた。
「”ネット上ではカル・エルがバットマンに猥褻行為を強要する画像さえ売買されている。このような行為とそれを平然と行う人格はクリプトニアンの代表たる者には相応しくない。我々は彼に警告を与えるべきではないか”」
「ええええ!ちょっと待ってよカーラ、そのネタ元はどこなんだい!」
カーラは私の驚きにわずかに愁眉を開いたが、完全に警戒を解いたわけではなかった。
これってあれか。思春期の乙女が兄の部屋でエロ本を見つけたときの軽蔑と苛立ちか。
「本当に知らないの。カル?」
知るも知らないも、確かに腕の中に捕らえたときのブルースのいい顔を見せびらかしたい気持ちはあるが、こんな形に残る状況は考えていなかったし、驚きが過ぎればどう報復してやろうとふつふつと怒りも沸いてくる。だが敵を知らなければ報復のしようもない。
「CCNよ。キャンダ-の中でリアリティーショーが流行っていて、それでCCNがキャンダ-の外を撮影し始めたの。今はバットマンが注目の的よ。この前ブルースが小さくなったじゃない。あのときの映像は瞬間最大視聴率が63パーセント。静止画像だけならニュースでも流れたからほとんどのクリプトニアンが知っているわ」
「えっと、カーラさま?」
「何よ」
きっと睨まれる。怖いなあ女の子は。
「それ、ブルースの素顔も公開されてる?」
「出てるわ。特に王子様モード全開の社交界でのブルースが人気ね。ウェイン・マナーの内部は出てないわ。何でもカメラを飛ばすと必ず執事に叩き落されるらしくって。ほら、キャンダ-の外に出せるカメラって高いじゃない?」
ということはブルースの寝室でのあんなことやこんなことはばれてないってことだな!?
冷や汗がだらだら流れる。ブルースにばれたら確実に殺される。二度と触らせてくれないかも知れない。
「とりあえず今後を検討するから、それ全部置いていってくれる?」
カーラはまだ文句が言い足りないようだったが、気を取り直して飛び去った。きっとスモールビルにでも戻ったのだろう。体力的にしばらくキャンダ-には戻れない。
さてどうしてくれよう。まったく。