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20080721
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なんてこったの、(2)がクラークの一人称になっていました。ついでに僕と私が入り乱れていることにいま気づきました。直すべきか、もう気づかなかった振りをするべきか…。

最近、時間がなくてブログに直に書き込んでいるので、全体を見直すことがないのですが、しかし折をみて直していきたいと思います。。

いろいろ適当ですみません。


 「こういうことになるんだって解ってたなら、あなたはスーパーマンを誘うべきでしたよ」
 飛び交う銃弾にクラークが悪態をつく。
「スーパーマンは嫌いだ」
 ブルースは振り返りもせず言い放ち、クラークはびしりと打たれたように固まった。
 嫌われる覚えはない。
 むしろ弱っているところを助けてくれたり、お茶を御馳走してくれるのだから好かれていると思っていた。
 火花。傍で煉瓦が弾けて、クラークは我に返った。そうだった。いまは追われていたのだ。バーで出会った老婆が言っていたアパートは空振り。たまたま近道になるかと入り込んだ暗い倉庫で出くわしたのは何かの取引の場で、品物が何かはわからないのだが、問答無用で狙撃された。
 だからクラークはただの新聞記者であるケント氏を呪いながら、ブルースの後ろについて走った。どうかこの人に弾が当たりませんように。それにしても大富豪は命を狙われているというのにずいぶん冷静だ。
「どうして嫌いなんです?」
 やっと搾り出した声は笑えることに少し震えている。だがブルースは気づかない、そうか、走ったせいだと思っただろう。
「ちょっと空を飛べるからって、人を子供扱いする」
 光の届かない暗闇で気配を殺すと、するりと四つん這いで猫のようにしなやかに物影を移動していくブルースに追い付き、クラークは問いを重ねた。ネルのシャツの裾から締まった脇腹が見える。ただの新聞記者には見えてはいけないのだが。
「子供扱いなんてされたんですか?」
 男達の気配は遠い。諦めたか、あるいは手段を変えてくるか。ブルースはぐっと口をつぐんだ。
「ミスタ?…ジェシ――ッ!」
 クラークは彼の顔を見ようと乗りだし、そして下に落ちた。あっと声を上げる前にその音を捉える。空気が抜けるような、かすかな音。まさかとは思うが、しかし証拠隠滅には確実な。
 咄嗟にブルースがクラークの腕を支えてくれたおかげではるか下の床への激突は避けられたが、もう一つの鈍い音もスーパーマンの良すぎる耳は捉えた。
 ブルースの骨が折れたのだ。どこか、肋骨か。元からひびが入っていたのかも知れない。ブルースは見事な反射神経で落ちたクラークの腕をつかみ、だがそのまま彼も床に打ち付けるように倒れたのだ。そういえば手が少し熱いのはそのせいか。クラークはそろそろと体重を抜いていった。
「ブルース」
 もういい。
 正体がばれるばれないがそんなに大事か。自分のために骨折しながら呻き声一つ上げない人がいるというのに。
「…いまは、お前の弟だ」
 ブルースは脂汗の浮いてきた顔で笑い、そしてクラークが浮遊することにひどく哀しそうな目をした。
「ごめんね」
「――知ってた」
 ただ、とブルースが唇を震わせ、熱く、しかし血の失せた息を吐く。クラークは彼を抱き上げて高く高く飛んだ。換気の窓を割ってそのまま上空へ逃げる。誰も追いかけてこられないところまで。

 そして廃倉庫は轟音を上げて爆発、炎上した。

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