20080721
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続いてしまいました…。
遊びに行きたい、というのがその小さな女の子の希望だった。
ブルースはやや考え込み、肩を竦めた。独身のブルース・ウェインと小さな女の子が歩いていれば、すわ隠し子かと騒がれるのは必死だ。だが彼女は有名実業家の姪というはっきりした身元がある。パパラッチを黙らせられるのは、ゴッサムの放蕩息子より、厳格な大企業のナンバー2、浮いた噂のひとつもないミスター・カークだろう。
「よし。では行こう。クラーク」
「何だい?」
「お前、ついて来いよ」
クラークはきょとんとし、アルフレッドにそっと車のキーを渡されて納得した。
「あ…。承知しました」
ちょっとがっかりしたクラークの足元からじっと黒い目が見上げてくる。小さな女の子はリズといい、それ以上は何も名乗らなかったから、クラークには今がどういう状況かまったく理解できていなかった。
「なんだい?」
「これはデートだ」
「え?」
そっと囁かれた言葉に聞き返すと、リズは子供らしかぬ深い眼差しで小首を傾げた。
「そう、望んだだろう?」
そう。ブルースと普通に表を歩けたらと夢想したことがないではない。だが昼と夜、どちらの顔のブルースもクラークとは違いすぎた。だからブルースと昼間から街を歩くことなど出来ないと諦めていたのだが。
「――そう、か。そうだね、ありがとう」
確かにリズがいれば大人の男二人が表を歩いていてもそれほど浮かないだろう。冴えない眼鏡のクラークはせいぜいリズのシッターか何かと思われるぐらい。
そう考えればこれはデートといえるだろう。リズは外見より随分と落ち着いているし、どうやらブルースとクラークの関係を知っているようだ。
「そういえばお前、何しにきたんだ?」
外套を取ってきたブルースに問われ、クラークは言葉に詰まった。
「電話があったんだ。ミスタ・カークっていう人から。ブルースが危険だって」
「エリックだ。わたしが二人と遊びたいって言ったからだな」
リズの言葉にブルースもクラークも納得したが、続いた一言に固まった。
「だがエリックは嘘はつかない」
それは真実のように思われた。リズの託宣めいた言葉も、電話口の深みのある声も人を信じさせるにたる重みがある。
「お出かけはおやめになりますか?」
アルフレッドが訪ねると、リズはしょぼんと、うな垂れた。それがあんまりにもあんまりだったので、クラークはブルースの手を握った。
「行こう!ぼくら二人が一緒なら、たいていのことは何とかなるよ」
「……それはある意味そうだろうが、とりあえず手を離せ」
クラークの真摯な眼差しに不意をつかれ、ブルースは耳を赤らめた自分が恥ずかしく、手を振り払うとリズの手を取って駆け出した。
「行ってくる、アルフレッド」
「行ってきます、アルフレッドさん」
ほとんど小脇に抱えられて、バイバイと手を降るリズに手を振り返し、アルフレッドはため息をついた。
「カウルがないと色んな心配で困りますねえ…」
--------------------------------
どうしよう。終わるつもりが続いてしまいました。。
ブルースはやや考え込み、肩を竦めた。独身のブルース・ウェインと小さな女の子が歩いていれば、すわ隠し子かと騒がれるのは必死だ。だが彼女は有名実業家の姪というはっきりした身元がある。パパラッチを黙らせられるのは、ゴッサムの放蕩息子より、厳格な大企業のナンバー2、浮いた噂のひとつもないミスター・カークだろう。
「よし。では行こう。クラーク」
「何だい?」
「お前、ついて来いよ」
クラークはきょとんとし、アルフレッドにそっと車のキーを渡されて納得した。
「あ…。承知しました」
ちょっとがっかりしたクラークの足元からじっと黒い目が見上げてくる。小さな女の子はリズといい、それ以上は何も名乗らなかったから、クラークには今がどういう状況かまったく理解できていなかった。
「なんだい?」
「これはデートだ」
「え?」
そっと囁かれた言葉に聞き返すと、リズは子供らしかぬ深い眼差しで小首を傾げた。
「そう、望んだだろう?」
そう。ブルースと普通に表を歩けたらと夢想したことがないではない。だが昼と夜、どちらの顔のブルースもクラークとは違いすぎた。だからブルースと昼間から街を歩くことなど出来ないと諦めていたのだが。
「――そう、か。そうだね、ありがとう」
確かにリズがいれば大人の男二人が表を歩いていてもそれほど浮かないだろう。冴えない眼鏡のクラークはせいぜいリズのシッターか何かと思われるぐらい。
そう考えればこれはデートといえるだろう。リズは外見より随分と落ち着いているし、どうやらブルースとクラークの関係を知っているようだ。
「そういえばお前、何しにきたんだ?」
外套を取ってきたブルースに問われ、クラークは言葉に詰まった。
「電話があったんだ。ミスタ・カークっていう人から。ブルースが危険だって」
「エリックだ。わたしが二人と遊びたいって言ったからだな」
リズの言葉にブルースもクラークも納得したが、続いた一言に固まった。
「だがエリックは嘘はつかない」
それは真実のように思われた。リズの託宣めいた言葉も、電話口の深みのある声も人を信じさせるにたる重みがある。
「お出かけはおやめになりますか?」
アルフレッドが訪ねると、リズはしょぼんと、うな垂れた。それがあんまりにもあんまりだったので、クラークはブルースの手を握った。
「行こう!ぼくら二人が一緒なら、たいていのことは何とかなるよ」
「……それはある意味そうだろうが、とりあえず手を離せ」
クラークの真摯な眼差しに不意をつかれ、ブルースは耳を赤らめた自分が恥ずかしく、手を振り払うとリズの手を取って駆け出した。
「行ってくる、アルフレッド」
「行ってきます、アルフレッドさん」
ほとんど小脇に抱えられて、バイバイと手を降るリズに手を振り返し、アルフレッドはため息をついた。
「カウルがないと色んな心配で困りますねえ…」
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どうしよう。終わるつもりが続いてしまいました。。
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