20080721
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反則ネタです。
反則というのも、私が勝手に自分に科しているだけのことなのですが、オリキャラを安易に出さないというものです。そんなわけでオリキャラがメインになるとどうにも反則だなあと。もちろん他所さまでオリキャラを出されるのは全然平気です。
今回オリキャラはあえて名前を出しませんでした。今後反則ネタが(2)とか表示されていても、続きではありません。この話は後半の台詞が書きたかっただけでして、あとから読み返して、ダメだなあ…と自分で思ったら削除対象になります。
以上の事柄お許しいただけましたらどうぞ。
さるパーティー、オリキャラとウェインさんの一幕です。
反則というのも、私が勝手に自分に科しているだけのことなのですが、オリキャラを安易に出さないというものです。そんなわけでオリキャラがメインになるとどうにも反則だなあと。もちろん他所さまでオリキャラを出されるのは全然平気です。
今回オリキャラはあえて名前を出しませんでした。今後反則ネタが(2)とか表示されていても、続きではありません。この話は後半の台詞が書きたかっただけでして、あとから読み返して、ダメだなあ…と自分で思ったら削除対象になります。
以上の事柄お許しいただけましたらどうぞ。
さるパーティー、オリキャラとウェインさんの一幕です。
上流階級とは名ばかりの、成り上がりセレブが集まるパーティーの中で、彼が現れると空気が変わる。
ブルース・ウェインは彼の登場に思わず笑みを漏らした。小柄で、ブルースより五つか六つ年下だ。柔らかな面差しは母方の血らしいが、生粋のセレブリティーで、彼と話すことはブルースにとって知的好奇心を満足させる。それから、幼い頃に不幸な事件に巻き込まれて、なおかつ真っ直ぐに育っていることが好ましい。
「こんばんは。ミスタ・ウェイン」
「やあ。君が来ているなんて全然知らなかったよ」
「そうでしょうね。僕もさっき参加を決めたんですよ。家出しようと思いましてね」
若者は肩を竦め、優雅な手つきでボーイからシャンパンを取り上げた。
「この国で君を拒める主催者などいないだろうが、でも家出だって?」
何せ個人資産でブルース・ウェインを抜く彼だ。若く、幾つかの小さなゴシップの他は品行方正、容姿端麗にして、頭脳明晰ときては。
「管財人と喧嘩したんです。僕が資産を減らすような真似をしたとカンカンで、まだ邸にいるんじゃないかな」
「それは昼間の発言のせいかな?」
昼前の彼の発言一つで、関連グループの株価が暴落したのだ。結婚するつもりはないが、気になっている男の子ならいる、と。小児性愛は殺人よりイメージが悪い。今回はそうとも取れる発言をしただけだが、パパラッチたちは大喜びだ。
「らしいですね。でも事実なんですよ。僕は彼が欲しい」
「――後継者に?」
ブルースが問うと、若者は何ともたとえられないような笑みを浮かべて、グラスに唇をつけた。
「だからあなたが好きなんですよ、ミスタ・ウェイン」
「なら朝一番で株を買いますよ。きっと正午には跳ね上がるんだろうね」
「はは。これもインサイダーかも知れないな。まあ、楽しみにしておいてください」
ふと視線を感じてブルースが振り返ると、その男は壁際から真っ直ぐ若者だけを見つめていた。四十の後半か五十代か、厳つい長身の男は辺りにも気を配りつつ、若者を追っていた。あの雰囲気は軍人だろうか。
「見つかったか」
舌打ちは若者からで、振り返ると彼は微苦笑を浮かべていた。
「あれは僕の護衛で、それから僕の罪の証です」
「罪?」
「僕は彼の愛しい者を殺してしまった。だから僕らは離れられない」
「それは過去の不幸な事件のことを言っているのかい?」
「僕はときどきあなたの頭の構造が知りたくなるときがありますよ。ミスタ」
若者に見上げられて、ブルースは言葉に詰まった。そうだった。今は陽気な大富豪でいなくてはいけないのだ。
「でもね、ミスタ・ウェイン。僕はいつでも選択せざるを得ない。彼も僕の今回の決断に怒っていますが、しかし僕が決めたことに異を唱えることなど許さない」
「最善を選ぶ、自信がおありか」
「そうなんです。あなたもそうでしょう。愛しているし、信頼もしているけれど、でも試さずにはいられない」
「自分自身も?」
今度こそ若者は得たりとばかりに悪い笑みを浮かべた。青い目がチェシャ猫のように細められ、ブルースは一瞬、その色に目を奪われた。
「僕、前から思っていたんですけどね、あなたの恋人はもう化石並に古風な貴族の令嬢か、スーパーマンみたいな王者の品格でも持ち合わせていないとダメなんじゃないかと」
その言葉にブルースは絶句し、そして笑いながら去っていく若者が人混みに紛れるのを音もなく追う護衛に気づいて、力を抜いた。今日のところは完敗だ。あの若者はバリーよりも突拍子も無い。
ああしかし。あの社会部の眼鏡を一度問い詰めなくてはなるまい。もしや彼に出会っていないかと。
その日ウェイン氏はさっさとくだらないパーティーを抜け出し、夜の闇に紛れ込んだ。
ブルース・ウェインは彼の登場に思わず笑みを漏らした。小柄で、ブルースより五つか六つ年下だ。柔らかな面差しは母方の血らしいが、生粋のセレブリティーで、彼と話すことはブルースにとって知的好奇心を満足させる。それから、幼い頃に不幸な事件に巻き込まれて、なおかつ真っ直ぐに育っていることが好ましい。
「こんばんは。ミスタ・ウェイン」
「やあ。君が来ているなんて全然知らなかったよ」
「そうでしょうね。僕もさっき参加を決めたんですよ。家出しようと思いましてね」
若者は肩を竦め、優雅な手つきでボーイからシャンパンを取り上げた。
「この国で君を拒める主催者などいないだろうが、でも家出だって?」
何せ個人資産でブルース・ウェインを抜く彼だ。若く、幾つかの小さなゴシップの他は品行方正、容姿端麗にして、頭脳明晰ときては。
「管財人と喧嘩したんです。僕が資産を減らすような真似をしたとカンカンで、まだ邸にいるんじゃないかな」
「それは昼間の発言のせいかな?」
昼前の彼の発言一つで、関連グループの株価が暴落したのだ。結婚するつもりはないが、気になっている男の子ならいる、と。小児性愛は殺人よりイメージが悪い。今回はそうとも取れる発言をしただけだが、パパラッチたちは大喜びだ。
「らしいですね。でも事実なんですよ。僕は彼が欲しい」
「――後継者に?」
ブルースが問うと、若者は何ともたとえられないような笑みを浮かべて、グラスに唇をつけた。
「だからあなたが好きなんですよ、ミスタ・ウェイン」
「なら朝一番で株を買いますよ。きっと正午には跳ね上がるんだろうね」
「はは。これもインサイダーかも知れないな。まあ、楽しみにしておいてください」
ふと視線を感じてブルースが振り返ると、その男は壁際から真っ直ぐ若者だけを見つめていた。四十の後半か五十代か、厳つい長身の男は辺りにも気を配りつつ、若者を追っていた。あの雰囲気は軍人だろうか。
「見つかったか」
舌打ちは若者からで、振り返ると彼は微苦笑を浮かべていた。
「あれは僕の護衛で、それから僕の罪の証です」
「罪?」
「僕は彼の愛しい者を殺してしまった。だから僕らは離れられない」
「それは過去の不幸な事件のことを言っているのかい?」
「僕はときどきあなたの頭の構造が知りたくなるときがありますよ。ミスタ」
若者に見上げられて、ブルースは言葉に詰まった。そうだった。今は陽気な大富豪でいなくてはいけないのだ。
「でもね、ミスタ・ウェイン。僕はいつでも選択せざるを得ない。彼も僕の今回の決断に怒っていますが、しかし僕が決めたことに異を唱えることなど許さない」
「最善を選ぶ、自信がおありか」
「そうなんです。あなたもそうでしょう。愛しているし、信頼もしているけれど、でも試さずにはいられない」
「自分自身も?」
今度こそ若者は得たりとばかりに悪い笑みを浮かべた。青い目がチェシャ猫のように細められ、ブルースは一瞬、その色に目を奪われた。
「僕、前から思っていたんですけどね、あなたの恋人はもう化石並に古風な貴族の令嬢か、スーパーマンみたいな王者の品格でも持ち合わせていないとダメなんじゃないかと」
その言葉にブルースは絶句し、そして笑いながら去っていく若者が人混みに紛れるのを音もなく追う護衛に気づいて、力を抜いた。今日のところは完敗だ。あの若者はバリーよりも突拍子も無い。
ああしかし。あの社会部の眼鏡を一度問い詰めなくてはなるまい。もしや彼に出会っていないかと。
その日ウェイン氏はさっさとくだらないパーティーを抜け出し、夜の闇に紛れ込んだ。
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