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20080721
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忙しくはないはずですが、疲労で死にそうです。。
……これ、面白いのかなあ…。自分で書いてても全然わからないです。


一応、今日で終わっときます。入れたかったネタは一個はいって、一個捨てました。全部はきれいに入らないのですが、どうにも脳みそが動かないので始末が悪いです。でも書かないと忘れるんですね。仕事が暇になることなんてないから、無理してでも書くしかない…。

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って書いてるけど、なんのネタを一個捨てたのかもはや思い出せないのですが、これでおしまいです。
長い間書き直すっていって停滞していて、すみませんでした。読んでくださってありがとうございます。
(2010.06)




「でも君も、面倒見がいいよね」
クラークがいうと、ブルースは嫌そうに眉を寄せた。
コナーの店にブルースが訪れたのはあの一件から二週間も経った頃で、クラークはその間もスーパーマンとしてエメット兄弟を遠くから見守っていた。コナーの緊張が解けると、さすがは”お兄ちゃん”としての年期が入っているというか、でかい図体も丸めてブライアンは尻に敷かれっ放しだった。
恋人になろうという意気込みは強いのだが、如何せん、コナーに弱いのだ。
「また覗きか」
「コナーの味覚障害、治ったんだってね。美味しいらしいね、あの店。取材に行こうかなあ」
「わたしに野次馬に囲まれて食事をしろというのか?」
「それは困る。君、おいしいものを食べるとちょっとだけ顔が和んじゃうんだよね。あんないい顔、もったいなくて他のヤツには見せられない」
クラークは黙って殴られ、そのままブルースを背後から抱きしめると肩に顎を乗せた。
「お前、最近調子に乗ってないか?」
ウェイン邸の敷地内とはいえ、ここは外だ。平凡な一記者が社主に抱きつくというのはどうか。
「スキンシップだよ、スキンシップ。ブライアンもしてたし」
「お前は私の兄弟ではない」
「じゃあ牽制だ」
何、とブルースが問い返すのとほぼ同時、二人の前に警官姿のブライアンが立っていた。
「……言っとくが、俺はちゃんと門から呼び鈴を押して入った」
先に口を開いたのはブライアンで、固まったブルースを抱いたままクラークはにこやかに挨拶した。
「こんにちは。ウェインさんに御用ですか?」
「エメットです。兄がウェイン氏にケーキを焼いたので届けに参りました。……で、あんたは誰?」
丁寧だったのは前半だけで、ブライアンは不躾なぐらいにまじまじとクラークの頭から足の先までを眺めた。何せ天下の大富豪、ゴッサム一のプレイボーイと名高いウェイン氏に抱きつく大男だ。
「僕はウェインさんの新聞社の記者です。ちょっと親睦を深めにきたんですけれどね。あははは」
「親睦…。まあ、とにかく受け取ってください。そしたら俺は帰りますんで」
押し付けられたバスケットを受け取り、ブルースはどうにか頷いた。
「もうコナーは大丈夫なのか?」
「店は再開しました。俺の料理を食ったコナーが、なんてまずいんだって叫んだから、味覚は正常でしょう」
ああ、と小さくクラークが頷き、ブルースはその脇腹に肘を入れた。
「いい加減、離れろ」
「はいはい。痛いなあ、もう」
「あんた、コナーに似てるな」
やり取りを見ていたブライアンが笑い、ブルースへ対していたときの他人行儀が消える。
彼が敬礼して来た道を戻っていくと、ブルースはクラークの胸倉を掴んだ。
「何をしているんだ、貴様は!」
「牽制したつもりだけど、逆効果だったかな~。そうそう、彼の料理、すごいんだよ。コナーってよく屋上で泣くんだけれどさ。なるべくブライアンの前では泣かないようにしていて、でも味覚が戻ったときは「まずい」って泣きながら食べてたなあ」
「お前はあの兄弟の生活をずっと覗いているのか。ストーカーか?」
「やだなあ。バットマンが活躍し出す前のほんの何分かだけだよ。気になるだろう、あんなに泣いていたら」
「彼が屋上で泣くのは、弟に心配させたくないからだろう」
「まあそうだろうけれど。僕がコナーを気にするのは、彼が君に似ているからさ」
毛を逆立てた猫のような貴公子のこめかみにキスをして、化けの皮をはがした記者が笑う。
「君だって、コナーを気にかけていただろう。昼食のためなんて言わせないぞ」
「Homo sum.」
唐突なブルースの言葉にクラークは眉を上げ、それから腕組みをして顰め面になった。
「どうしてそういう意地悪をいうかなあ」
”Homo sum.”(人間だから)のあとにはこう続く。 

――”Humani nil a me alienum puto.”(人間のことで関係ないことなどない)

「ケント君。君も人間ならば社会に貢献するような格調高い論説を出すことだ」
意地の悪い社主の笑顔でブルースは一歩下がった。
「地に足のつかぬスーパーマンなど、闇を這いずるバットマンほどに無力なのだからな」
「バットマンは無力かい?」
「犯罪者を殴って刑務所に入れることが出来ても、子供にクリスマスプレゼントは与えられない」
「ウェインさんは出来ますね?」
「ウェイン財団とて世界中の子供にプレゼントは与えられないさ」
「僕らが目に見える犯罪を蹴飛ばしたって世界は変わらないって、わかってるんだけど」
「変えられない隙間にエメットのような善人が愛をくれるだろう。そのとき君は何をするんだ?」
ブルースの目に悪戯っ子のような耀きがある。クラークは降参とばかりに両手を上げた。
「僕は正義が報われるために記事を書きます。人類の一員として、ペンの力を信じて、いつかスーパーマンもバットマンも要らない社会を目指す」
「楽しみにしているよ」
クラークの臭い演説にブルースは口元だけで笑い、そして邸に向かって歩き出した。
「来ないのか、クラーク。茶を入れてやろう」
「君が入れてくれるのは嬉しいけど、アルフレッドさんの茶菓子がつくともっと嬉しいなあ」
「ふむ。じゃあ、このエメットのケーキはいらないというんだな?」
「え、そんなつもりじゃないよ!欲しいです。ください」
じゃれ合う二人の声を遠くに聞きながら、アルフレッドは溜息をもらしてお湯を沸かし直した。



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あとがきみたいなもの。
ゴッサムで暮らしている一般市民があれだけ犯罪率の高い都市で普通に生きているわけがないと思って書き始めた気がします。
クラークはコナーにブルースが普通の家庭で育っていたら、と勝手に夢を託すんですが、コナーが普通の家庭で育ったかなんて、クラークにわかるはずもなくて、それで「いい人」なコナーも単純にいい人じゃなくて、どこか世間の常識とずれていたらいいなと。

だってゴッサム市民だもの。

本当に、長いこと、お付き合いありがとうございました。途中で終わってるのってあと何個ぐらい残ってるのかしら…(疲)

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