ぺりぽーと （２）

誰も読みたいとは仰いませんでしたが、ふとブル様が脳内で自分をあほボンのまま放置するなと怒るので、続きをちょびっとだけ。

タイトルは相変わらず誤字から出たそのままですが、飛行機に乗り換えました。

あ、クラブルでキスがあります。ご注意。（←レーティングＧじゃないのは警告を入れようという試み中です。うっかり忘れなければ）

　移動用の小型ヘリでは始終にこやかだったブルースだが、小型の双発飛行機に乗り換えると途端に無言になった。
　操縦席は仕切られており、客席は完全に隔離されている。このタイプの飛行機からすれば少な目の、八席のシートがゆったりとした間隔で配置されており、クラークが丸めていた体を伸ばすと、ブルースがわずかに目を細めた。
「いつもああか？」
「ああって？…ペリーかい？怒鳴られっぱなしだよ」
「ちっとも聞いてやしなかった癖に」
　クラークが肩を竦めると、ブルースはその膝を蹴った。大きな手にその踵を取られ、靴下越しに親指で踝を撫でられる。
「放せ」
「じゃあキスしてもいいかい？」
　ブルースは眉を顰めたが、蹴り出す様に踵を振りほどくと立ち上がって、クラークに口付けた。
　からかいに乗るとは思っていなかったクラークが目を丸くする。
「ペリーの件で忘れていたが、さっきレックス・コープの社長に尻を触られた」
　ブルースは忌々しそうに吐き捨て、ジャケットを脱ぐと座席に投げた。壁際に備え付けられた扉を開け、酒を出す。
「お前も何か飲むか？」
「ちょ、ちょっと待って！レックス・コープの社長って、ルーサーじゃないか！」
「ちょっとばかり商談があってな。まあ、ご破算だ。こっちが蹴ったんだが。宣戦布告代わりに尻を揉まれただけで」
　思い出しても腹が立つ。普段は飲まないアルコールを欲するのもつまりは、そういう状況で殴り返せない軟弱なブルース・ウェインという男のせいだ。
「揉まれた？！」
「クラーク」
　野暮ったいスーツのまま、赤くなって青くなる顔色は面白いが、しかしここでスーパーマンが飛び出していって、ルーサーにちょっかいを出せば話がややこしくなりすぎる。ブルースはクラークの眼鏡を取り上げると、膝に乗ってジンで痺れた舌を挑発的に絡ませた。驚く男が目を閉じて応えようとする前に顔を離す。
　ブルースはクラークの首に腕を回したまま、冷徹な顔で見据えた。
「で、協力するんだろうな？」
「な、にを？」
「レックス・コープの子会社を一つ二つばかり潰してやろうと思ってな。ケント君」
　にこやかな顔でさらりと言われたことに新聞記者は慄き、しかし頷く以外に道はなかった。